沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1513]

  • (日)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2014年04月10日[No.1513]号

首里劇場で地域活性化

 那覇市首里大中町にある映画館「首里劇場」は最近、映画上映のみならず、音楽イベントなども行っていると聞きました。成人映画のイメージが強く、まだ一度も入ったことがないのですが、上映以外の取り組みについていろいろ知りたいです。(那覇市 元独身貴族さん)

首里劇場で地域活性化!?

 首里劇場といえば、調査員のイメージではなんといっても成人映画。中学生のころは、よく上映プログラムのタイトルを見てドキドキしていました。まだ行ったことがないという人も少なくないのではないでしょうか。これは興味津々。早速行ってみましょう!

沖縄最古の映画館

 首里劇場は龍潭からほど近い所にあります。非常にノスタルジックで風情のある建物。3代目館長の金城政則さんに話を聞きました。

 「首里劇場の創立は1950年で、今年で64年目になります。映画はもちろん芝居小屋としても使われていましたが、カラーテレビが普及し始めたころから成人映画のプログラムが増えていきました。『成人映画』といっても作り手は本当に一生懸命。ストーリーもあって素晴らしいですよ」

 そういえば一度上映を見たことがある調査員ですが、なまめかしさと同時に優しい気持ちになったのを覚えています。

 沖縄最古の映画館だけに味のある建物ですね。

 「年季が入ってるでしょ(笑)。映写もフィルムにこだわっていますよ」

 そう言うと映写室を案内してくれました。うわ〜これはミシンのようにフィルムをはわせる大きな機械。映画ファンが見たら大喜び間違いなしです。

 同劇場で「渋さ知らズオーケストラ」というバンドのライブが今年2月にありました。どこかスピリチュアルな雰囲気が漂う空間×大所帯バンドの迫力でそれはそれは盛況だったとのこと。こんな使い方もあるんだと、僕の好奇心は止まりません。

 「でもイベントの時には仮設トイレは持ち込んでもらわないといけないよ」。今なおくみ取り式トイレを使用。時代が感じられるのでこれはこれで残しておいてほしい!

イベントで付加価値

 そんな中、同劇場の活性化を地域で取り組んでいるのが、劇場から徒歩2分、那覇のコミュニティーFM局「タイフーンFM」の代表・平良斗星(とうせい)さん。

 「僕は小学生のころから首里に住んでいて愛着も強い、いわば首里右翼(笑)。首里劇場の前も何万回と歩いています」

 これまでの取り組みは?

 「首里まちづくり研究会という団体がプロデュースしている『首里トワイライト物語』というシリーズで、劇場を会場に、首里の古写真を見ながら地元の方の話を聞く『タイムトラベル首里』というイベントに携わりました。時代を見つめた劇場の中で、その時代を生きた地域の方の話を聞いて首里の今昔を感じることができましたよ」

 トークイベントも音楽も上映も、劇場の使い道は幅広いんですね。イベントを通して地域と共にあり続ける必要性は何でしょうか?

 「地元でも一度も足を運んだことがない人は多いんです。上映プログラムも続けてもらいながら、地域を巻き込んだイベント会場として使われる意義は大きいと思います。

 そうすると首里劇場を身近に感じ、劇場と地域の双方で活性化が期待されるのではないでしょうか。どんどん使っていくべきだと思います」

 なるほど、同劇場に対する思いにしてもコミュニティーFMでの活動にしても、「地域との結びつき」に源があるんですね。同劇場の何が平良さんを引きつけているのでしょうか?

 「行政がなかなか古い建築物を残しにくい中で、この長い歴史を誇る首里劇場はパブリックな場所として唯一無二の存在なんです。そして文化的ともいえる建物が首里にあるということにも意味を感じます」

 同劇場でイベントを行うこと自体、すでに付加価値が付いているのではないでしょうか。どんどん活用していきましょう。面白い場所ですよ、首里劇場。



このエントリーをはてなブックマークに追加


首里劇場で地域活性化
金城政則さん
首里劇場で地域活性化
晴天に映える首里劇場=那覇市首里大中町
首里劇場で地域活性化
ノスタルジックな劇場内
首里劇場で地域活性化
平良斗星さん
>> [No.1513]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>