沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.7]

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「ゆいレールでいこう!!」2012年10月04日[Vol.7]

ゆいレールでいこう!!


ゆいレールでいこう!!
 那覇市牧志、ひめゆり橋から国際通りへ交差する場所に位置する「牧志駅」。戦前は湿地帯の広がるのどかな農村だったことが想像できない同エリア。戦後、立ち入りと住宅建設が許された地区として、急激に人が集まり、市場や市街区を形成しました。現在は、国内外の観光客も多く利用し、沖縄散策の拠点としてさまざまな人気スポットにつながります。今回は、駅から歓楽街・桜坂を通り、陶工の街・壺屋まで南下してみましょう。 
(島知子)

作家とつながるショップ
MAXI MARKET

MAXI MARKET

店主の熊谷恵さんとセレクトした食器

MAXI MARKET
1点1点個性的な作品をそろえています

 県内各地の若手作家の作品を中心にした品ぞろえのセレクトショップ「MAXI MARKET」(マキシ マーケット)。台形型の小さな店内には、陶器、ガラスの他、ベビー服やTシャツ、バッグ、アクセサリーがセンス良く並べられています。神奈川県横浜出身の店主・熊谷恵さんは、「場所柄、観光客の方にも立ち寄っていただいています。多くの皆さんと作家さんとの橋渡しができるとうれしいですね」と話します。白を基調にしたシンプルな作品が多く、一点一点、作り手のぬくもりが伝わってきます。「好きな物に囲まれてとっても幸せ」という熊谷さんの笑顔が作品に花を添えています

那覇市牧志3-15-51嘉数リースビル第211F
電098(863)3534
12時〜20時




思わず食べちゃいそう
食品サンプル山月 shopムーンリトル

食品サンプル山月 shopムーンリトル

本物そっくり、ユーモアあふれる作品は見ているだけで笑顔に

食品サンプル山月 shopムーンリトル
屋良聰さん

 店内に一歩入ると、思わずニヤリ。ゴーヤーや沖縄そば、チンスコー、ラフテーなど、沖縄の食材をモチーフにしたストラップやマグネットが所狭しと並んでいます。「従来の食品サンプルは、『待ち』の商品。飲食店や病院などから発注があってから作りますよね。対して、これらストラップやキーホルダーなどは、『提案型』。アイデア次第でいくらでもバリエーションが出せます」と話す店主の屋良聰さんは、まるで厨房のような工房からさまざまな商品を世に送り出しています。 現在、人気なのはスマートフォン用のイヤホンジャック。無機質なスマホに、テビチやポーク卵が刺さっていたら、思わず自慢したくなっちゃいますね。「沖縄の食材は元気ですよ。発信力があるし、無限の可能性がある。それに、ユーモラスでかわいいでしょう。作るのは大変だけど、たくさんの人に喜んでもらって、沖縄をアピールできたらうれしい」と、少年のような笑顔の屋良さん。新たな視点の試食品…いや、試作品を見せてもらったら、これまた力作。近々お目見えするのを楽しみにしています!

那覇市牧志3-23-34
電098(866)1024
9時〜18時
日曜・祝祭日定休(土曜日不定休)




人がつながる新しい街の形
さいおんスクエア

さいおんスクエア

水辺でゆっくりくつろげます

さいおんスクエア
駅務員 西江要さん

 駅と連絡通路でつながる「さいおんスクエア」は、安里川・親水庭園を中心に、牧志駅前広場や商業施設CARGOES(カーゴス)、居住エリア、ホテルのほか、那覇市牧志駅前ほしぞら公民館・図書館などが配された複合施設。かわいらしいパラソル付きのペデストリアン・デッキでひと休みもおすすめです。




一人でも気軽に入れる
ワインと小皿料理 Bar Shamus

ワインと小皿料理 Bar Shamus

佐古則興さんが作るやさしい味わいのボロネーゼ

 かつて天ぷら屋があったことから「天ぷら坂」と呼ばれる急坂の途中に、おしゃれなバーを見つけました。ランチはボロネーゼとグラタンの2種類。店主の「ムッシュ・サコ」こと、優しく穏やかな語り口のマスター・佐古則興さんが出迎えてくれる「バル シャムス」です。「料理を振る舞うのが好きで、オープンしました」と佐古さん。ボロネーゼは、しっとり食べ応えのあるひき肉のかたまりに各種スパイスの香りをまとわせ、多めにからめたチーズが一体となってほっとする味。バルタイムは、グラスワインやビールを片手に、根菜のピクルスやサラダなどを楽しめます。

那覇市牧志3-6-30-1-A
電098(866)5475
ランチ=12時〜16時/バル=19時〜25時




老若男女が集う
桜坂周辺

桜坂周辺

竜宮通りのシンボル的イラスト

桜坂周辺
看板にスターがびっしり
桜坂周辺
桜坂の魅力を語る山田義実さん

 駅から徒歩10分、大人の街、そして変貌激しい「桜坂」ってどんな街? 桜坂社交業協会会長の山田義実さんにお聞きしました。「復帰前はね、娯楽の殿堂・桜坂と言って、それは華やかでしたよ」。山田さんによれば、60年代には約450軒の飲食店が軒を連ねていたと言います。「特筆すべきは、18軒あったキャバレーです。5,6人編成の生バンドと、最大30人の接客の女性がいてね。ステージでショーをして、フロアではジルバ、タンゴ。ブルースを歌ったり」。復帰後、那覇に集中していた歓楽街が各地に分散したことで、一時桜坂は勢いを失いますが、「牧志-壺屋線が通ったことで、団体客が立ち寄りやすくなりましたよね。これからは、オールドの魅力と新しい風が融合した街になってほしいですね」。街は生き物。住む人、営みをしている人が大切-山田さんの言葉が印象に残りました。




まちなみ号とさいおんうふシーサー
まちなみ号とさいおんうふシーサー

9月に運行スタートした「まちなみ号」。ボディーがミニギャラリーになっています

 牧志駅の新しいシンボル「さいおんうふシーサー」。壺屋焼きとしては世界最大、足下の球から噴水のように水を出して立っています。「さいおんうふシーサーを手前にして、美栄橋駅方面から入ってくるゆいレールを撮るとかっこいいですよ」と、同駅駅務員の西江要さん。「牧志駅は、観光の方が多く、いつもにぎわっています」と、話している間も、「壺屋に行きたいんですが…」「国際通りのおすすめスポットは?」と、地図を片手に尋ねてくる家族連れ。外国の方も多く訪れるスポットです。


貴重な緑地帯 
希望ヶ丘公園

希望ヶ丘公園

   

 てんぶす那覇裏、国際通りから一歩入ると、都会のオアシス「希望ヶ丘公園」があります。大きなガジュマルの木が涼しい木陰を作り、所々ベンチが設置されているので、ほっと一ユクイ。遊具は少なく、ネコが多い! 頂上からは、ビッシリとマンションやビル群が見える都会の公園です。


歴史を感じる街並み散策
壺屋

壺屋

 

壺屋
   
壺屋
6代目・高江洲忠さん

 約300年前、王府がヤチムン職人(陶工)を集めて形成された街・壺屋。荒焼(あらやち)専用の登り窯「南ヌ窯」(フェーヌカマ)は、県の有形文化財に指定されています。  壺屋焼窯元「育陶園」6代目で陶主・伝統工芸士の高江洲忠さんは、とても気さくな方。「若い頃は陶工になりたくなくてね。でもね、内地の焼き物の学校行ったらね、周りより上達が早くて、すぐ先生の助手。カエルの子はカエルだねーって思ったよ」と懐かしそう。「後継者も育ってね、、土を触っているだけで幸せですよ」と、いとおしそうに作品を見つめます。壺屋焼きの魅力を多くの人に発信するため、各窯元で工夫を凝らした体験工房を行っています。沖縄の焼き物の歴史や特徴が展示されている「壺屋焼物博物館」と、20以上の窯元の作品を販売している「壺屋陶器会館」でお気に入りを見つけてみて。器との出合いが生活を豊かにしてくれますよ。

取材協力:那覇まちまーい
電098(860)5780

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